スカイマティクスは、2016年に三菱商事の社内ベンチャーとして誕生しました。

事業運営の中で、CEO渡邉が「事業に対してオーナーシップを持ち、スピーディーな意思決定をしたい」と考えたことから独立を決意。MBO(マネジメント・バイアウト)を経て、現在ではシリーズBラウンドにて累計調達額は約29億円を超える規模となりました。 スカイマティクスが歩んできた過程は、共にプロダクトの開発・提供に取り組んできたメンバーはもちろん、当社を支援いただいた投資家の方々の存在なくして語ることはできません。 そこで今回は、MBO実施時から個人投資をいただき、2021年7月に社外取締役にも就任いただいたレオス・キャピタルワークス株式会社の代表取締役会長兼社長・CIO(最高投資責任者)の藤野英人氏にインタビュー。CFO信原が進行役となり、CEO渡邉も交えて、スカイマティクスに感じた可能性や投資価値、今後の期待などについて藤野さんから伺いました。 目次 プロフィール スカイマティクスに感じた「社会変革」の可能性 「社会を良くする」という視点を忘れずに、足元の事業成長だけでなく10年先の課題を見据える プロダクトの「社会実装」を通じて、誰もがテクノロジーを活用できる未来へ プロフィール 藤野 英人さんレオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役 会長兼社長・CIO(最高投資責任者)。大手資産運用会社を経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。投資信託「ひふみ」シリーズ最高投資責任者。投資啓発活動にも注力する。 渡邉 善太郎/Zentaro Watanabe代表取締役社長。早稲田大理工学部機械工学科卒業後、2002年に三菱商事株式会社入社。宇宙・GISビジネスに従事し、多数の新規事業創出、M&A等を実行。16年にスカイマティクス創業。サービスの発案からアルゴリズム構築、開発、営業までを一貫して手掛ける。 信原 淳/Atsushi Nobuhara取締役CFO。一橋大学商学部卒業後、03年にあずさ監査法人入所。公認会計士。法定監査及びIPO支援に従事し数々のIPO案件に関与。18年にライフイズテック株式会社にジョインし、大型資金調達やUS法人設立、新規事業立上げ等に従事。20年11月執行役員CFOとして参画。 スカイマティクスに感じた「社会変革」の可能性 信原:藤野さんとCEO渡邉が出会ったのは、2019年だと伺っています。まずは藤野さんから、スカイマティクスへの第一印象をお聞きしたいです。 藤野さん(以下、敬称略):信頼している方から「面白い会社があるよ」と紹介いただき、スカイマティクスの存在を知りました。農地管理サービス『いろは』の開発・提供を通じて、スマート農業の実現に大きく寄与する会社に出会えたと、胸が躍ったのを覚えています。 当時のスカイマティクスは、三菱商事の子会社。ですが、渡邉さんにお会いして、いわゆる「大手総合商社出身」とは思えないくらい起業家マインドを持った人物だと驚きましたね。 しかも、話を聞けばまだ独立できるかもわからないし、資金調達のめども立っていないと。けれど「自分自身がオーナーとなって、さらなる挑戦をしていきたい」と語る渡邉さんの目は輝いていました。社内ベンチャーとしてすでに一定の成功を収めているにもかかわらず、より高みを目指すその姿に、感銘を受けたんです。 大企業の中からエンジニアリング企業が分離独立して、さらに事業が成長していけば、日本の企業のあり方にも良い影響があるのではないだろうか。率直にそう思い、ぜひ協力したいと伝えました。 信原:私自身も「大企業から独立する」というチャレンジングな姿勢に共感して2020年に入社したので、そのお言葉をとても嬉しく思います。藤野さんから見て、スカイマティクスのどういったところに投資価値を感じていただけたのでしょうか? 藤野:DX化がなかなか進んでいない産業に「光」を当てられる事業だという点が、非常に面白いなと。 土木建設業界や農業・林業など、現場作業が多い産業の負荷や作業効率の課題は、日本だけでなく全世界に共通するものです。スカイマティクスが掲げる「RaaS(Remote Sensing as…

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パナソニック小林氏が語る家電で培った技術を生かした車両セキュリティ(前編)

安全なモビリティを通じて人々の暮らしを快適にアップデート 本対談シリーズでは、自動車業界でサイバーセキュリティ活動を推進しているキーパーソンに、車両ライフサイクル全体を見据えたセキュリティ対応について、それぞれの立場から話を聞きます。 第3回目は、パナソニックで車両セキュリティ対策全般を担当する小林 浩二氏が、総合家電メーカーとしての強みを生かしながら取り組む車両システムセキュリティについて、語ります。(文中敬称略) 対談者 パナソニック株式会社 オートモーティブ社 開発本部プラットフォーム開発センター ソフトウェア・サービスプラットフォーム開発部セキュリティプラットフォーム開発課 主任技師 小林 浩二氏 PwCコンサルティング合同会社 デジタルトラストディレクター 村上 純一(写真左)PwCコンサルティング合同会社 デジタルトラストシニアマネージャー 奥山 謙(写真右) 家電開発で培った「組み込みセキュリティ」を車両システムに応用 奥山:最初に、自動車業界におけるパナソニックの立ち位置について教えてください。パナソニックは、自動車(車両)のどの部分を製造しているのでしょうか。 小林:当社の代表的な商材は、「車載インフォテインメント・システム(IVI:In-Vehicle Infotainment)」と呼ぶ車載情報通信システムです。カーナビゲーションやオーディオ、ディスプレイなど、車内のインフォメーション(情報)とエンターテインメントを管理する部分ですね。 2000年からの00年代、家電製品はアナログからデジタルへと進化しました。パナソニックはその時代の潮流に合わせ、放送/通信機器のデジタル化を推進し、新たな価値を提供する製品をお客様に提供してまいりました。現在、IVIとして車両に搭載されているカーナビゲーションやヘッドアップディスプレイ、カメラ、および、さまざまなセンシングデバイスは、家電製品開発で培ってきた技術を応用したものです。 村上:アナログからデジタルへの進化において、サイバーセキュリティ対策は外せないテーマです。パナソニックでは、どのような方針でセキュリティに取り組んでいますか。 小林:当社では家電製品のデジタル化に伴い、高画質で美しく見せる映像技術、クリアで高音質な音響技術、人と人をつなぐコミュニケーション技術機能が追加され、より楽しく便利になりました。これらの機能は主に膨大なソフトウェアで制御されています。ですからソフトウェアに脆弱性があれば、その製品はサイバー攻撃によって誤作動を起こすリスクを負ってしまいます。 デジタル機器が普及してきた2000年代初頭、私たちのチームは、デジタルカメラやスマートフォンの外部記録メディアとして使われるSDカードの記録メディア向けの著作権保護技術CPRM(Content Protection for Recordable…

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安藤忠雄×サントリー 佐治信忠「やってみなはれ」の精神

東京・お台場のサントリーに、サントリーホールディングス 代表取締役会長兼、社長の佐治信忠氏を訪ねた建築家の安藤忠雄さん。先代社長・佐治敬三氏を通じて旧知の間柄のふたりが、日本人にとって今大切なのは「前を向くこと」だと語り合う。決断力、行動力、勇気、執念……日本の本当の強さが問われている。 安藤忠雄(以下・安藤) 佐治さんとはつい数日前も、宮沢りえさんが出演している舞台『下谷万年町物語』の劇場でご一緒しましたね。 佐治信忠(以下・佐治) そうでした。蜷川幸雄さんが演出した作品で、満席でしたが、客席は女性ばかりでした。日本は不況で元気がないと言われていますが、女性は元気です。 安藤 確かに、芝居へ行っても映画へ行っても歌舞伎へ行っても、会場にいるのは女性ばかりです。海外のいろいろな国で講演会をやっていますけれど、どこの国の人も日本人女性を大絶賛します。きれいで、元気で、長生きだって。先日もドバイへ行ったら、大阪のご婦人が3泊で来ていました。たった3泊ですよ! 元気だなあ、と思いましたね。 佐治 日本人女性の行動力はすごいですね。 安藤 最近気になっているのは、学生に元気がないことです。可能性にかけるという発想を持っていない気がします。 佐治 下ばっかり向いてる。 安藤 個人的には日本人は、すごくレベルの高い民族だと思っています。鎖国の状態から維新を経て、わずか数十年で、日本を西洋の列強に匹敵する国へと発展させた明治時代の人たちなんて、世界一の人間力を持っていたといえます。明治はついこの前ですよ。その遺伝子は、私たちの血の中に間違いなくある。「下ばかり見ていないで、前を向け!」と言いたいですね。 佐治 理屈ばかり言っていないで「行動せい!」と言いたい。ごちゃごちゃ言っても世の中はよくはなりません。大切なのは、実行することですよ。 順風の時も逆風の時も、常に前を向くことの大切さを大きな声で語り合うふたり。先代社長・佐治敬三氏との思い出話に花が咲いた。祖父や父が蒔いた種が今実っている安藤 佐治さんにはいつも遊びに連れて行ってもらっているというか、食事を一緒にするばかりですけれど、こうしてサントリーという会社を訪ねると、「大経営者なんだ」と改めて認識します。それにしても、ハイボールのブーム、続いていますね。 佐治 まだまだこれからだと思っています。 安藤 サントリーは粘り強い。1960年代の「トリスを飲んでハワイへ行こう!」の頃からサントリーという会社に親しんでいますが、当時は男性は老いも若きもハイボールばかり飲んでいました。 佐治 あの頃は「トリハイ」といいました。トリスウイスキーをハイボールで売ろうとしたんです。祖父の代ですよ。つまり、ジイサンが種を蒔き、その実りを僕が収穫している。ビールでいえば、オヤジの代で始めて、ビール部門で日本初のモンドセレクション最高金賞を受賞した「ザ・プレミアム・モルツ」で大きく伸長することができている。長い道のりですよ。ビールを始めてしばらくは、どこのお店へ飲みに行っても、うちの製品は置いていなかった。だから、オヤジはキンキンに冷やしたサントリービールを店に持ちこんで飲む。さらに各テーブルを回って、他のお客さんにも飲んでいただく。 安藤 執念ですね。 佐治 ものすごい執念でしたよ。もちろん、執念だけではなかなか売れません。いいもの、お客様に本当に喜ばれる付加価値の高いものを作らなくちゃ売れないということを、若い頃の体験から学びました。それが、プレミアム・モルツにつながっているわけです。 安藤 やっぱり粘り強い。 佐治 ビールは事業を始めてから40年くらいうまくいかなかった。'80年代にウイスキーが売れていたのが、'90年代に落ち込み、利益が厳しい時期がありましたが、最近になってウイスキーもビールもよくなってきています。なんで調子がよくなってきたかというと、それは、しんどい時代に社員みんなで「しんどいなあ……」と落ち込まずに、「新しいサントリーを作るんだ!」という思いでやってきたからです。逆境の時も、ネガティブな風に耐えながら明るく振る舞ってきた。諦めない。へこたれない。そういう精神力がいかに大切かということだと思います。経営者はしつこく執着心を持って、決めたことは徹底的にやらないといけない。これはオヤジから教わったことです。 「おもろいやっちゃ」に力づけられてきた 安藤 私はお父さんの佐治敬三さんの時代からお付きあいさせていただいていますが、敬三さんにも、信忠さんにも共通するのは並はずれたバイタリティと、社会と人を見る目の確かさです。敬三さんに出会ったのは'70年代の大阪でしたが「お前、おもろいやっちゃな。ついてこい!」と言われて、いろんなところに連れていっていただいた。その代わり、いつもボロクソにも言われましたけれどね。 佐治 オヤジは安藤先生のようなバイタリティがあって、アイデアが豊富で、そしてどんどん前に進む人が大好きでした。そういう人に会うと、「おもろいやっちゃ」と言うんです。 安藤 「生まれてきたからには、楽しみながら前を向いて生きていくんや」とも、よくおっしゃっていました。当時の私は設計事務所を始めて間もない時期で、「これからどないしよう」という時ですよ。でも、「そんなのお前、何とかなるもんや」と言われる。元気に前を向いていれば道が開けていくことを教えられました。大阪中を連れ回されて。でも、一緒にいると、何とかなるような気がして実際、元気になりました。で、それまで小さな個人住宅しかやったことのない私に、巨大な美術館の設計を依頼してくださった。この人についていこう、と思ったものです。 佐治 まさに、サントリーのDNAでもある「やってみなはれ」の精神ですね。それにしても、今は夜の街が静かでいけない。銀座もずいぶん静かになりました。世界のどこへ行っても、発展している国は夜の街がにぎやかです。東日本大震災の影響もあると思いますが、このままでは世の中が閉塞していきます。家飲みもいいけれど、外に出て、ある意味無駄遣いをしなければ、なかなか明るくて豊かな世の中にはなりません。 安藤 東日本大震災については、サントリーは復興支援が迅速でした。驚くほど早かった。最初は義捐金3億円とミネラルウォーター100万本でしたね。 佐治 ビール類と清涼飲料水1缶につき1円を1年間積み立てると40億円になるので、これを被災地の産業の中心である漁業の再生と子供たちの支援に役立てていただくことにしました。そのうち漁業支援の20億円は先に送って、被害の大きかった船舶を造ってほしいと話しました。とにかく「はよ持って行け!」と。「こういう時にはスピードが大切だ!」と。 安藤 そう! 早いことに価値がある。役人は台帳作って、平等にとかやっているから、どんどん時間が過ぎていく。 佐治 緊急時ですから。少しくらいアバウトでもいいじゃないか、迅速さのほうが重要なんだ、とも言えますね。 安藤 菅直人内閣の時に、政府の東日本大震災復興構想会議のメンバーとして呼ばれて、「方針を早くきっちりと発表してほしい」と話したんですよ。「海岸から100mの土地を国有化する」「2050年に原子力をゼロにすることを決めて、そこから逆算して、2030年までに原子力と自然エネルギーを何%にして、今年は何%にする」。そういうことを直ちに決めてすぐにアナウンスしろと言った。そうしないと国民が不安だし、いきなり原発をゼロにしたら、エネルギー資源のないこの国からは企業がみんな出ていってしまうからです。すると「安藤さん、ここはそういう具体的なことを発表する会議ではありません」と言われる。それで8時間もえんえん会議するわけです。 佐治 政府は、“日本”という会社の経営者の立場ですから、社員全員の生活を守るために、しっかりとスピード感を持って決断を下してほしいと思います。 自分が作る商品を過小評価したらいけない…

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